9/23日記

 ヨブ記を除けばキリスト教の教義に共感はしないが、聖書は読み物として面白い。特に旧約聖書を読むと、Before Christの頃から家族や兄弟は憎み合って殺し合うし、高潔な者も慢心して晩節を汚しうるし、世代を経ることで人間や国家が必ずしも良くなっていくわけではないと分かる。大変安心する。出エジプトで大役を果たしたモーセですら一時の怒りに飲み込まれてしまうのだから、我々がそうなるのも当然である。人間は昔っから同じような愚かなことばかりしてきたわけだ。

 あと、楽園追放の時にアダムとイブが労働の苦しみや生みの苦しみを与えられたということから、当時すでに人間の味わいうる普遍的な苦痛は労働と出産だったと分かる。AIが労働の大半をになうようになり、人工子宮での出産が当たり前になれば我々はこの記述を飛び越えたことになるが、2,000年と少し経つ今でもその二つは人間の味わう普遍的苦痛なのでこれらはなかなかの強敵だ。