11/28日記(テルさんTV)

 「テルさんTV」というYouTubeチャンネルを最近よく見ている。コンテンツは成人男性に支持されそうな内容で、首都圏に住む男性が日産エクストレイルに乗って孤独にドライブし、さまざまな場所で車中泊するという動画だ。どこか『孤独のグルメ』のノリを感じる。
 都市生活者の孤独、車中泊、車窓を流れる風景、隠れ家めいた4WD車、秘密道具のようなアウトドアグッズ、調理は雑だが味が濃くて美味しそうな料理……、そこそこ小金持ちの既婚男性からぼんやり生きてるアホ学生まで興味を持つロイヤルストレートフラッシュである。

 ただ率直に言うと、私はこの手のおっさんカルチャーには少し排他性を感じてしまう。そのため、こういう動画は自分からは絶対に見ないが、アナがいやに熱心に見てたので面白さに気づいたわけだ。綺麗な個人病院での長い待ち時間で、置いてある『サライ』や『Casa』を暇つぶしに読んでたらいつの間にか夢中になってた感覚に近い。こういうのは取り扱うと結構視聴者へのマンスプレイニングになりそうなテーマだと思うが、全くオラオラしてないので安心して見ることができたのだ。

 おそらくYouTuberに必要な資質の一つに、共感を集めやすい人柄があると思うが、テルさんはかなりいい感じだ。
 都心在住のエクストレイル乗りで次々とアウトドアグッズを買い揃えているのだから、元々稼ぎのあるエリートだと思われるのだが、テルさんはやたらと腰が低い。彼のチャンネルが掲げるテーマは「孤独の車中泊」なのだが、孤独を気取るというより、自分がちっぽけな存在であることを常に視聴者に語りかけてくる。ちなみに彼は顔出し、声出しはしておらず、動画には字幕を用いている。どんな人物なのかは謎だ。
 少なくとも結婚はしており、絵本を読む年齢の子供がいるようだ(触れられないが、おそらく時々車中泊には配偶者が同行しているっぽい)。動画から垣間見ることのできる彼の生活は元々裕福そうではある。
 あと、リクルートに何か恨みでもあるのか、毎回「仕事に忙殺された私は……」とか言って例の丸の内のビルを写す。気持ちは分かるがいいのかよ。

 ちなみに彼はカルチャーへの造詣も浅くはなさそうだ。アラーキー植田正治などの写真家を好み、私のベストムービー『マルホランドドライブ』を車中で観てもいる(彼が好んでいる映画は2000年代初頭のものが多いので、おそらくその頃に多感な時期を過ごしたのだろう)。あと結構漫画を読むタイプのようで、動画の中で宮崎夏次系を買い込んでいた時もあった。
なぜか車内にPS4を持ち込んで『スパイダーマン』をプレイしてる動画もある。他にはクーラーを自作していた時もあり、おそらく趣味に近い形で電子工作に慣れているようだ。
 アウトドア派のようでインドア的趣味にも手を広げているとは一体……。テルさん、謎の存在だ。

www.youtube.com