9/3日記

 『クレイジー・リッチ!』について考えてる。これはいまアメリカで大ヒットしている映画とのことで、特筆すべきはアジア人俳優が主演やその他の大きな役を飾っているという点だ。というよりは、舞台がアジア、シンガポールらしい。
 ここ数年、『ワンダーウーマン』『ブラックパンサー』『シェイプ・オブ・ウォーター』みたいな、それまでマイノリティだった位置の俳優が主演する映画がアメリカでヒットしており、さらに『ゲット・アウト 』『ムーンライト』など、黒人が重要な位置を占める作品がオスカーを見事に獲得している。
 本当はここにアジア勢も続いてほしいなと思っていたところの『ゴースト・イン・ザ・シェル』だったのに、アジア系俳優は日本の大物以外ほぼ登場せず、ホワイトウォッシュだとの批判の元、派手にコケたわけだ。ファンとしてはこれを菊地凛子ぺ・ドゥナで見たかった。ベタかもしれないが、少なくとも押井版を下敷きにしていたならこの二人はめちゃくちゃハマったと思う。今ハリウッドで頑張ってるソノヤミズキや忽那汐里が演じるのも良さそうだが、菊地凛子ぺ・ドゥナならばクセのある美しさも役柄にぴったりだし、年齢的にも素子の直面するミッドライフクライシスをなんとなーくいい感じに表現してくれた気がする。ただ、ぺ・ドゥナの場合は日本のレイシストにいらぬ誹りを受けたかも知れないのだが……。
 評論家でもない私の恨み言はどうでもいいとして、『クレイジー・リッチ!』だ。『crazy rich asians!』が原題なので、アジア系がハリウッドにガツンと一撃食らわせる、しかも札束で頬をはたくようなやり方で、というものかなと思ったが、そうではないらしい。シンガポールの金持ちの家の御曹司と、アジア系アメリカ移民の普通の女性のラブストーリーっぽい。御曹司は身分を隠して(?)そこそこ有名な大学職員の女性と付き合ってたのだが、なんと地元最強の御曹司には彼をめぐる恋のライバルが大勢いましたよ、しかもそれは主人公を遥かに凌ぐ才色兼備な若い美女ばかり!アジア系ならではの強い姑も現れてさあ大変!という感じらしい。
好きなタイプの映画かと言われると予告編を観ただけではなんとも言えないし、賞レース向けの映画でもなさそうではある。ギャグを詰め込んだ『プラダを着た悪魔』路線の感じがするが、気になるのは確かだ。ここでダサい主人公を「変身」させるのがファッショニスタのゲイのイケメンとかならなんかがっかりなのだが、ここでは同じアジア系の親友がその任を受け持ってるらしい。安心だ。
 とにかく、こういう作品のヒットでアメリカのショウビズの世界が変わって、いつかアジア系がメインの賞でオスカーを堂々と獲得する姿を見たい。