7/10日記

 昨日はコーネリアスの展覧会について書いたが、その続き。森美でやってた建築の日本展について。

 森美術館はやたら建築についての展覧会をやってる気がする。毎回コルビジェのフィーチャーされっぷりが目立つが、なぜなのだろう。今回もライゾマティクスの作品でコルビジェモデュロールが紹介されてた。(ライゾマなのに演者がperfumeではなく、音楽も中田ヤスタカではないのでなんか違和感があった)
 私は美術や建築について全然体系的知識を持たないので、日本大好きフランク・ロイド・ライトとか「レス・イズ・モア」「神は細部に宿る」でおなじみのミースについての知識はあったが、元々ル・コルビジェについては本当に全く知識がなく、どこの誰ですか?港区おじさんが集まるフレンチレストランの名前かな?という感じだった。上野に彼の建築があることさえ知らなかった。森美がコルビジェをめっちゃ推してるために知った感じである。というか、森美が自分の好みで推してるわけではないのだろうか。私が知らないだけで建築界ではとりわけて偉大な人なんだろうか?ググる限りでは近代の三大巨匠という感じで確かに有名人っぽいんだけど、比較文化の文脈だとフランク・ロイド・ライトがスターなのでなんかピンと来ない。建築とか美術に詳しい人、誰か教えてほしい。

 まあそれはいいとして、建築の日本展である。
 日本古来の木造建築からはじまるが必ずしも歴史順に建築を辿るというわけではなく、日本建築の特徴を九つのセクションに分け、系譜学的に古い建築と現代建築との繋がりを見ていくというタイプの分かりやすい展覧会だった。ただ、展示が多くて全部見るのには体力をかなり使った。
 建築技法としては、組み木と心柱考えた奴やべーな、なんか賞あげたいわという感じがあった。木組は木をはめ込める形に切って組むことでプラモデルみたいに釘を使う必要なく構造物が作れるアレだ。これは中学校で習った時も「たしかに古い寺だとそんな感じだな」と思った。心柱はあえて浮かせることで揺れを小さくしてる、要するに耐震構造である。これはスカイツリーの制震技術に応用されてるということだった。五重塔は倒壊したことがないらしい。聞いたことあった気がするがヤバすぎる。阪神淡路大震災も乗り越えたということで、うっかり燃やす奴が出ない限り最強である。
 あと待庵っていう千利休の茶室を原寸再現してるコーナーがあった。頭下げないと入れないこととか侘び寂びで有名な例の狭い場所である。
 茶室は竹を葛で結んで骨組みにした屋根とか、藁の混じった土壁でできた質素な作りだ。え!この鉛と鉄とコンクリートでがっつり作って、中でアグレッシブに金儲けしてるヒルズにこれ作るの!?なんだかとってもバチあたり!という感じでめっちゃ背徳的に思えるのでオススメ。ぜひ中に入ろう。

 和洋折衷の建築とか、工芸的アプローチの家具とか、他にも見所はたくさんあり、日本建築がモダニズム建築とかメタボリズム建築、今も活躍してるSANAA安藤忠雄の建築にどう影響を及ぼしてるのか大変よく分かって良い展覧会だった。楽しかったのはもちろん、なんか薄汚れててつまんねーし現代建築の方が好きだわと思ってた日本の伝統的技法や古い建築について発見も多かった。
 私は森美のキュレーションを信じて各展覧会に通っているのである意味では彼らに教育されており、建築についてなんかぼんやりと知識がついてきた気がしてるので、そのおかげでこの展覧会を楽しめたという側面もあるのかも知れない。でもとにかくすごく力の入った展覧会なので、誰にとっても見る価値があると思う。